紀要 第6号(3)平成19年度長期保存文書選別業務報告

平成19年度長期保存文書選別業務報告

公文書館条例第3条は、県の各機関(公安委員会を除く)で作成・授受された公文書の保存期間が満了したときに、速やかに当該公文書等を公文書館に引き渡さなければならないとしている。この規定により公安委員会を除くすべての県機関から、毎年公文書等の引渡しが実施されている。しかし公文書館は引き渡されたものをすべて保存するのではなく、公文書館職員による選別を経て一部の重要な文書のみを保存している。それは書庫に限りがあること、複製物及び同種同類の公文書等が大量に存在すること、そしてすべての公文書等が歴史的に重要なものとは言い難いことなどの理由による。

選別は偏りがなく、公正で客観的な判断に基づくものでなければならない。なぜなら選別を経て保存される歴史的公文書は、他の歴史資料と共に神奈川の記録遺産を形成し、県民共有の情報資源として広く利用されていくからである。そのため公文書館は平成5年(1993)の開館と同時に選別基準を設け、告示として公表した。そして本年度、選別の判断経過を示す記録を作成し公表することになった。これは選別の透明性を高めると共に、将来における効率的な選別方法を築くには不可欠な手段であると考えられたからである。

この業務報告で扱われている公文書は、行政文書管理規則による10年と30年の保存文書(以下「長期保存文書」という)であり、その他の3年、5年等の保存文書(以下「フォルダー文書」という)は対象にしていない。フォルダー文書は単年度の引渡し量が約17~19万件(約10,000箱)に及び、長期保存文書と同じ方法で選別記録を作ることは実質的に不可能だからである。今後の検討課題として残されている部分である。

それに対して長期保存文書は、行政機関の事務執行上相対的に重要な役割を持つものであり、保存期間が満了したものであってもその取り扱いの過程は記録され、追跡可能な状態にされている必要がある。また引渡しの総量は毎年1,000冊(1冊の厚さは7cm~10cm)程度であり、課内の他の業務をやりくりすれば記録の作成は決して非現実的なものではないと思われた。そこで行政資料課では平成14年度に試行を行い、翌15年度から公表することを目的に毎年検討を行ってきた。本報告はこの5年間の検討の結果として公表するものである。

平成19年度の長期保存文書の選別は、平成19年11月から翌20年2月まで行なわれた。報告は非常勤職員を含む課員8名で分担して執筆し、課会議での検討を経て選別主任が起案し館長の決裁を経たものである。今回業務報告として公表するにあたり形式の統一のほか、若干の語句の訂正及び修正をした。執筆分担者は以下のとおりである。陳岡信夫行政資料課長、遠藤茂副主幹、佐々木徹副主幹、石原一則副主幹、西澤均副主幹、相原知恵子主査、岡悦郎主査、大川啓(非常勤職員)。

この報告書は今後も継続して作成し機会を捉えて公表していきたい。関係各位のご意見等を賜れば幸甚である。

平成20年10月

行政資料課

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