資料の複製化

当館では開館以来、資料の複製化を継続的に進めています。
「複製化」は「代替化」、あるいは、紙媒体をフィルムやデジタルの媒体に移し替えることから「媒体変換」とも呼ばれます。
複製化の目的としては、劣化対策と利用促進の2つの面があります。
複製物を劣化対策として用いる目的は主に下記の3つです。
(1) 代替利用(複製物を利用に供することでオリジナル資料の利用に伴う物理的損耗を防ぐ)
(2) 内容保存(原資料の劣化・損耗が進むため、現時点の外観や内容情報を保存しておく)
(3) 危険分散(大規模自然災害、火災、盗難等による資料の喪失を未然に防ぐ)

なお、デジタル化やマイクロフィルム化以外にも、紙への電子コピー、紙焼き(写真の焼き付け)も複製化に含まれます。当館では、昭和40年代から進められた『神奈川県史』編纂の過程で、神奈川県内外の資料所蔵者・機関に赴いて資料を収集し、写真撮影を行いました。それらのネガフィルムを紙に焼き付けて製本した「県史写真製本」が収蔵コレクションの中にあります。

デジタル化

デジタルカメラやスキャナーなどの性能が向上し、対象の高精細な再現が低コストで可能となったことで、所蔵資料のデジタル化が資料保存機関で一斉に進められています。
デジタル化された資料が公開されることで、利用者はネットワークに接続された情報機器で、居ながらにして資料を閲覧することができます。
当館でも資料のデジタル化を進め、収蔵データベースから閲覧できるデジタル画像(デジタルアーカイブ)を充実していきます。

マイクロフィルム化

神奈川県では、毎年増えていく公文書の保管場所の狭隘化への対策として、昭和40年代にマイクロフィルムを導入しました。これは、公文書を高精細で縮小撮影したフィルムを保管し、オリジナルの文書を廃棄することで保管場所を削減するものでした。

現在では、オリジナルの公文書を廃棄することはありません。マイクロフィルム化の目的は、資料を複製化することで複数個所で利用できる、資料の保存対策とするなどのへ変化しました。デジタルデータの長期保存性が未確立の現状では、保管環境が適正であれば長期保存性を有するフィルムは、保存媒体として有効であり続けているのです。

現在、当館において新規のマイクロフィルム化は、 公文書館の中間保管庫に引き継がれた30年保存文書のうち、公文書館長が選定したものを対象にしてのみ行われています(利用者は、県庁の県職員)。