公文書館だより 33号
写真で見る城山ダムの建設
相模川総合開発事業
相模川総合開発事業は、相模ダム建設を中心とした相模川河水統制事業(昭和13年から24年)に続く事業として、戦後の上水道・工業用水や電力需要の更なる拡大に対応するため、城山ダム建設を中心に昭和36年度から実施されました。
建設中の城山ダム(広報課撮影写真ID4199203832)
完成式典で祝辞を述べる内山知事(当時)
(広報課撮影写真ID4199203991)
完成した城山ダムを歩く式典参加者
企画展示 相模川-人の暮らしはその流れとともに-
開催期間 9月18日(金曜)から1月17日(日曜)
神奈川県の中央を南北に流れる県内最大の河川、相模川。富士山麓、富士五湖の一つである山中湖を水源とし、上流の山梨県内では桂川、河口付近では馬入川とも呼ばれています。相模川の名前は、旧相模国第一の川であることから国名がつけられました。
古くから農業用水や船運による物資の運搬などに用いられ、暮らしに欠かせない存在であった相模川ですが、沿岸地域には水害をもたらしてもきました。また、江戸時代には幕府の政策により橋を架けることが禁じられていたため、交通の要衝ともなっていました。
近代以降になると、都市化に伴い飲料水や電力の需要が増え、それを補うためのダム建設など大規模な開発が行われました。その一方で、開発に伴う砂利の採取や、生活排水等による水質悪化などの環境問題も招いたため、環境保全に向けた取り組みも行われてきました。
今回の企画展示は、開催期間を前期と後期に分け、神奈川県に住む多くの人が恩恵を受ける相模川と、人々がどのようにかかわってきたのか、当館が収蔵している資料から紹介します。
相模川通り戸田村提絵図 戸田村小塩家文書(ID219905149)
前期 9月18日(金曜)から11月15日(日曜)
「相模川の利用と開発」をテーマに江戸時代の相模川の普請や、江戸から近代にかけての用水の利用、昭和に入ってからのダム建設を中心とした総合的な開発についての資料を紹介します。
後期 11月20日(金曜)から1月17日(日曜)
「交通路としての相模川」では、物資の輸送路として用いられた江戸時代の相模川に関する資料や、通行を管理するために設けられた番所に関する資料を紹介します。また、橋が設置されていなかった江戸時代に相模川を渡るために使われていた渡船や船橋、近代になって架けられた橋の資料なども展示します。
「相模川の環境保全」では、近代以降問題となった砂利採取や水質悪化などの環境問題に対して、どのような取り組みが行なわれているかを紹介していきます。
全期間 9月18日(金曜)から1月17日(日曜)
前期・後期を通して「絵図と写真でみる相模川の今昔」と題して、相模川が描かれた絵図や、相模川を撮影した写真資料を展示します。
昭和32年 城山ダム建設予定地 広報課撮影写真 (ID4199400428)
展示場所は、当館1階展示室で、入場は無料です。ご自由にご覧ください。
展示解説のお知らせ
展示期間中、展示解説も実施します。
前期は、9月19日土曜・10月17日土曜・11月7日土曜
後期は、11月21日土曜・12月19日土曜・1月16日土曜
いずれも14時から1時間程度で、申込みは不要です。ご来館をお待ちしております。
収蔵資料紹介
百八十年ぶりの再発見
北条家朱印状 酉六月二十日
(29.9×47.0cm軸装)
天保年間、江戸幕府は「新編相模国風土記稿」(以下「風土記稿」)編さんのために相州で史料採訪を行いました。その際、影写本(「相州文書」内閣文庫現蔵)に収録したのですが、その後原本の現存を確認ができずにいた文書が、今回当館に寄託されました。
原本は、再三の所有権移転で行方不明となっていたため、『新編相州古文書』(昭和十九年刊)や『神奈川県史』(昭和五十四年刊)などは、写本の「相州文書」を元に作成されました。
再発見の原本と写本との間に文言の相違はなく、「来る手立てにより七夕前後に出陣しなさい。急速の支度が肝要です。人数などについては特に適切に処理すること。日限は重ねて申し付けます」といった内容です。
これには年代表記がありませんが、天正13(1585)年と考えられています。当時の当主は五代氏直で、古河公方は既に断絶し、徳川家康の娘を娶(めと)り領国拡大と共に関東地方周辺部で地元の戦国大名と抗争を激化させていた時期です。文書の翌月の七夕過ぎ、当主氏直は虎の印判と共に出陣し、その間は隠居の四代氏政が「有効」の朱印を用いて掟書等を複数出しています。
宛先の依田下総守・同大膳亮は父子で、父親の依田康信は評定衆として署判した裁許状が10通伝わっています。「風土記稿」では、依田氏の末裔(まつえい)は高座郡用田村の「旧家八右衛門」としています。
なお、およそ180年前の史料採訪時、当該文書の所有権は既に藤沢宿の「文次郎」に移っていたようで、相州文書には「文次郎蔵 用田村村民八右衛門ノ所蔵ナリ事ハ別紙ニアリ」と注記があります。そのため、風土記稿や新編相州古文書等は高座郡用田村の項に掲載し、県史等は藤沢宿の文次郎蔵としています。
収蔵資料のレファレンス事例から
5月下旬のある日、当館の閲覧室窓口に来られた方から「昭和20年代の住宅の間取りが分かる資料を探している。他にもいろいろ当たったが見つからなかった。」というご相談をいただきました。
このような問合せは年間千件以上寄せられ、直接来館されてのもの、電話やメールによるものがあり、その内容もバラエティーに富んでいます。もちろん、すぐに回答できるものばかりではありませんが、職員一同、できるだけ早く正確な回答ができるよう知恵を絞っています。
今回のケースでは、住宅というところから、公営住宅に関する文書を考えました。「公営住宅、建築」というキーワードで検索してみると、昭和20年代に建設された公営住宅の起債許可申請文書がありました。しかし、残念ながら間取りが分かる図面は添付されていませんでした。そこで、昭和20年代に建築した住宅ならば、耐用年数が過ぎて取り壊されているはずだと考え、「建築」に代えて「用途廃止」で検索したところ、ヒットしたもののうち、資料概要に「建物写真と一部平面図が添付」と注記してある資料を発見し、閲覧していただいたところ、間取り図があり、ご要望にお応えすることができました。
利用者からの問合せは、当館の財産になります。窓口でお待ちしています。
海老名市営住宅平面図
海老名市営住宅写真
出典:平成5年度から8年度 公営住宅用途廃止承認申請(ID1200501566)
利用案内
当館では、県が作成した歴史的に重要な文書や、神奈川に関わりのある古文書、図書などを収集、保存しています。
これらの資料は、閲覧室でご覧いただくことができます。また、年間を通じ、さまざまな形で資料を展示し、皆様のご来館をお待ちしています。
小学生の館内見学 中尾の町ってどんな街?
6月19日、当館のすぐ隣にある中尾小学校3年生60人が、社会科の授業で見学に来られました。学区内の施設を訪問して、何をしているのか調べる「中尾の町ってどんな街?」という学習です。
小学生の皆さんに公文書館の仕事内容を伝えるのはなかなか難しいことですが、少しでも興味を持ってもらえるよう閲覧室では、歴史マンガなどがある「子供のための図書コーナー」を紹介するとともに、江戸時代の小学校(寺子屋)の様子を描いた絵や教科書(手習本)、戦前の小学生の写真、かながわゆめ国体のマスコット・かなべえのぬいぐるみなどを見てもらいました。展示室では、展示資料の中から神奈川県の形成過程(今の神奈川県の形はどれ?)や村の年中行事などの資料の説明をしました。
展示資料の一つである「一つ目小僧」にちなみ、一つ目の妖怪のイラストを描いてもらう企画を行っていましたので、これにも挑戦してもらいました。児童たちからは、「何点くらい資料があるのか」「いつできたのか」「その前はここに何があったのか」など、活発な質問が出され、公文書館の役割について学んでいただくことができました。
大会議室で
イラストの展示
展示のご案内
企画展示
- 相模川(人のくらしはその流れとともに)平成28年1月17日(日曜)まで
常設展示
- 公文書館の仕事紹介 平成28年3月31日(木曜)まで
- 古文書・公文書は面白い 平成28年1月29日(金曜)から平成28年3月31日(木曜)まで
講座のご案内
古文書講座応用編(定員140人)
- 11月1日から11月29日までの各日曜日(全5回)
このページのお問い合わせ先
神奈川県立公文書館 資料課
TEL:045-364-4461
FAX:045-364-4459