資料修復について
歴史的公文書・行政刊行物等、および古文書・私文書の修復
修復の目的
職員の資料整理や業務利用(閲覧、展示、貸出等)、また、来館者の閲覧利用等を機会に発見され、既に進行している様々な紙資料の劣化によって、
- 将来的に資料内の記載情報の喪失を招く可能性がある場合
- 現状の資料の状態での閲覧利用が困難な場合
これらの状態を最低限の修復処置で改善し、記録の保全と利用の利便性の両面をかなえることを目的としている。
修復の方法
主に、和紙としょうふ糊による手修復(補修)と、リーフキャスティングマシンによる修復を行っている。そのほか、損傷・劣化した修復対象部分の状態、素材の種類、利用の頻度等により使用する道具や、修復材料・方法を適宜検討している。
リーフキャスティング
和紙の原料として使われる楮や三椏等の紙繊維を水に分散させ、紙資料の欠落した部分へ流し込んで補填する修復技術である。
当館では古文書に分類している和紙資料のうち、虫損(虫喰い)によって紙同士が固着したり、文字部分が破片化したりして、閲覧が困難である資料を解体した状態で処置する。
リーフキャスティング処置の特徴は以下の通り。
- 紙繊維が補填される部分に糊を必要とせず、可逆性がある。
- 資料の欠損部にのみ補填用の紙繊維が漉き込まれるため、余分な厚みが出にくい。
- 両面が使用された資料の、裏面の記載情報も隠れることはない。
- 水に浸すため、資料の洗浄効果がある。
リーフキャスティングマシンによる修復作業
修復前
修復後