当館の資料保存とは
県民生活や県政の推移を歴史的に跡付ける歴史的公文書や、神奈川の歴史形成を跡付ける古文書・私文書などを中核とする当館収蔵資料は、県民共有の財産として現在の利用者のみならず、後世の人々にも永く伝えるべきものです。
当館に来館される方々の閲覧請求に対しては、基本的にはオリジナル(その資料が作成された時と同じ)の資料をご提供しています。それら資料の大半は「紙」という支持体に記録されています。植物由来の「紙」は1,000年以上の命脈を保つ耐久性を誇りつつも、製造方法によっては数十年でボロボロになる脆弱さも持っています。
そのように有限である媒体に情報が記録された資料の物理的状態を維持し利用に供していくためには、資料を自然状態のままではなく、様々な人為的な対処を間断なく継続していく必要があります。
当館では、収蔵資料の末永い利用を保証するためにその物理的状態を維持する営為を「資料保存」と呼び、下記のような定義を与えてその実践に努めています。
価値ある資料をよりオリジナルに近い状態(内容・形態)で利用できるように、その劣化を抑制・遅延させ(予防)、かつ治療(機能回復)することで延命する組織的営み